ルイス・キャロル(チャールズ・ドジソン)が『不思議の国のアリス』の次に出版した本は文芸作品ではなく、ドジソン名義で出版した数学書 An Elementary Treatise on Determinants(1867年、『行列式初歩』)であった。このため、『不思議の国のアリス』を気に入ったヴィクトリア女王がキャロルに次の著作を送るよう求めたところ、この数学書が送られてきた、といったエピソードが広まったが、これはまったくの作り話であると、キャロル自身が生前『記号論理学』第二版の広告文の中で否定している[25]。なお創作話が非常に良く出来ていたためか、菊池寛も「アリス物語」(昭和2)の序文で数学書の話を紹介している。菊池・芥川「アリス物語」(興文社、1927年〈昭和2年〉)[1]